2014年04月22日

変革運動を敗北させるには

先日、投書がありました。
やり取りの中で、
「なんで先鋭化・過激化すると共鳴者が減るんですか? 思いつくかぎり汚く激しく叩いた方が共感を得られるはずだ。」
と問われました。


これは困りました・・・先鋭化・過激化・非倫理化すると共鳴者が減ると直感的に思いませんでしょうかね?、、、私は思うのですが(^^;
この方法で共感するのは、一部の身内(味方)だけです。
そして、それらの方々は、特にアプローチせずにほおっておいても自分で考え・動き、味方になります、ですのでアプローチする必要がありません。


なぜこれが問題なのかは複数理由がありますし、詳しく書きますと膨大な量になってしまいますので代表的な物をすごく簡単に書いてみます。


*        *        *


人間の脳内には、進化の過程で構築された論理モジュールという回路が先天的に存在し、この回路は一定のキーワードから自動的にネガティブな情動を引きおこすことが明らかになっています。


さらに人間の本能には情動プライミングと呼ばれる自動プロセスが存在し、ネガティブな情動を引きこした概念から無意識のうちに回避行動をとることが実験により明らかになっています――自覚することなく“無意識のうちに”反発するのです。


また、この“無意識の反発”から自我が生み出され後天的な道徳観に成長していきます。
そして、人間には
『自分を社会的にも道徳的にも優れた人物と思いたいし、他人からもそのように見られたい』
という根源的な欲求が生まれます。


成熟した国家において、人は社会的に影響力のある行為をしようとする限り、社会的に広くみとめられた道徳観に沿った行為規範を選択せざるをえません。
人間は先天的にも後天的にも道徳には勝てないのです。
非道徳的なことを続けて行いますと人々は無条件で排除の方向に動きます。


要するに人間は先天的に善良なのです、精神病でもない限りは。
実は先天的倫理プログラムは、人間以外の動物にも存在します。
一例として、たとえばサルは近親相姦をすると思われますでしょうか?
サルは近親相姦が倫理的にタブーであることを後天的に学習できません。


しかし、これは・・・「しない」が正解なのです。
動物は、進化の過程で、理屈なしに、それらから距離を取ることを脳内に刻み付けられているのです、抗えない習性として。
それらから距離を取ることが生存や種の保存に有利であることを無意識に認識しているのです、だから生き残ってきたのです。
このような無意識の倫理回路が、複数、人間には備わっているのです。


過激化・非倫理化がすすみますと、人々は、その概念から無意識に回避行動を取るようになります――つまり共鳴者が離散してしまいます、離脱者が出てきてしまいます。


社会運動研究の第一人者Sidney G. Tarrow博士(コーネル大学社会学部教授)は、著書において、近代民主主義国家における社会変革運動において非倫理的な戦術を用いて勝利することは不可能であり、非倫理的な戦術が採用・発展した例も無い、と述べ、その理由の一つに「暴力が生じそうになるだけでも、非暴力的な共鳴者が遠ざかってしまうことになる」ということを挙げておられますが、この解釈でもいいのですが、要するに、暴力の有無関係なしに、人間は本能的に非倫理的なものから自動的に距離を取る習性があるだけのことなのです。


この原理がわかっていなければ、保守活動の努力をすればするほど離脱者が増え、努力すればするほど敗北に近づくという努力逆転現象が起きてしまいます。


――ちなみにこの努力逆転現象を意図的に起こさせるスパイ工作が過去の社会変革運動で行われていたことが明らかになっています(SDS・アメリカ民主社会運動同盟、新左翼運動)。優れた運動抑圧者は、運動を敗北に追い込むには、『綺麗ごとではダメだ、誰かが泥をかぶらなければ事態を打開できない!』、『平和的活動で何か変わったのか!』と言わせればいいことを研究により知っていたのです。――


ましてや日本は、江戸時代の昔から倫理・教育水準が高く、歴史的に見ても多くの人格者を量産した風土があります。
それが、今日の日本の繁栄の源になったとも言われています。
日本において倫理と戦うのは、なお一層きびしい・・。


日本だけという訳ではなく、世界中のどこであっても倫理を無視した活動を行いますと、倫理を盾にした強大な敵が出現してしまいます、排除の自動プログラムが作動するのです。


余談になりますが、このことを知っていたのがアドルフ・ヒトラーでした。
以下の文章はヒトラーの大衆扇動術からの引用(抄訳)になります。
――私はヒトラー礼賛者でもなんでもありません。またヒトラーが用いた手法の多くが陳腐化しており現代においては通用しないことが明らかになっています。――


普遍的なモラルに反する扇動は自分を不利にする。
味方以外からは強力な反感を買うだろう。
普遍的なモラルを大義名分として団結した巨大な敵が表れる可能性があるのだ。

健全ではない思想を持つ団体は、社会的な影響力を持つほど勢力を広げることはできない、ヒトラーは違っていた。
彼は、大衆に対しては常に善良なイメージを与えた。

誰が見ても善人に見えるように行動したのだ。

ヒトラーが国民から圧倒的な支持を得ることができたのは、彼が普遍的なモラルを持つ人のように見えたからである。

*        *        *

ヒトラーの演説を見ると、ヒトラーに悪魔的イメージだけを想像する人は、意外と平凡な内容に当惑するかもしれない。

演説の内容ほとんどいい話で、悪いやつの演説には見えないのだ。
演説を終わる時に、キリストに祈ることまでしている。

ヒトラーは、民族構成員の間の誤解を払拭してお互いに和合することを主張する。
職業によって人を差別せず、すべての人がそれぞれ重要な役割を分担する民族共同体の一員だ、ということを思い出そうと言っている。
なんとも、いい話ではないか。


『普遍的なモラルに反する発言は自分を不利にする』


『健全ではない思想を持つ団体は、社会的な影響力を持つほど勢力を広げることはできない』


『誰が見ても善人に見えるように行動したのだ』


『国民から支持を得ることができたのは、普遍的なモラルを持つ人のように見えたからである』


――私は、切れ味鋭いユーモラスな言い回しや情熱的な迫る文体が、優れた文章の構成要素となることは理解しております、そのようなものまで否定するわけではありません。――


*        *        *


あらゆる勝負事において、最終的には失点を抑えた方が勝ちます。
ミスを抑えた方が勝つのです(とくに勝利条件が厳しい場合はそうなります)。


勝負事において「負け」の9割は「自滅」という話もあります。


総力をあげて保守勢力全体の失点を減らさなければなりません。


「敗北」を回避し「勝利」しましょう、そのために失点を減らしましょう。


離脱者を出してはなりません。
努力逆転現象を起こしてはなりません。
韓国のように自爆してはなりません。


------------------------------------------------------
現代社会においては、
大規模な事業を行う場合には大衆の同意がかかせない。
したがって、その事業がいかに健全なものであっても、
その良いイメージを大衆の心に印象づけることができなければ
失敗に終わる。(宣伝広報学の父:Edward Louis Bernays博士)
------------------------------------------------------


もしよろしければ―→ にほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へ
(別窓で開きます)


posted by K_美樹 at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 運動の理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/395308496

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。