2014年03月08日

【保守活動講座10】集団成極化のメカニズム

この連載も、いよいよ終わりに近づいてきました。
感慨深いです・・・疲れてきていますので終わったら、ちょっと休みたいですね(^^;


昨日、書きましたが『集団成極化』が進むと社会変革運動は崩壊します。
今日は、その『集団成極化』が発生するメカニズムについて述べたいと思います。
これを知っておくことは必ずや保守活動にプラスになるはずです。
主に以下の3つの要因があるといわれています。


【1:社会的比較理論(他者優位性)】

人は、他者と比較して(集団の性格と一致する方向での)明確ではっきりとした強気の意見を主張することが他のメンバーの印象をよくし、注意を引き、集団の中で自分の地位を高めることにつながるという側面に注目する理論。

どっちつかずのはっきりしない意見よりも極端ではっきりした意見の方がメンバーには魅力的に思えるものです。

人間には、集団において自己を他者と比較して「優位に立ちたい」「目立ちたい」という他者優位性という習性があり、それが動機となるという理論です。


【2:説得的論拠理論(説得し、説得されようとする)】

集団においては多数派が説得性をもち、少数派はそれに説得されようとするという理論。

例えば、集団内においては、多数派の意見は賛同者が多いため、妥当性を持ち、さらに説得性を持ちます。賛同者が多い支配的意見の持ち主は、自分の意見が説得力をもつため、あやふやだった自分の意見に、よりいっそう自信を持ち、よりリスキーな方向へ極端な意見を主張するようになります。

少数派も、妥当性を認め、多数派の意見に影響され、自分を説得しようとします、その結果、はじめの平均的な意見は支配的意見に収斂されます。人間の脳には説得性に富む論拠や情報を受け入れようとする習性があるのです。


【3:情報準拠理論(社会的同一化)】

社会的アイデンティティの影響であるとする理論。人間は特徴をもつ集団に所属すると、自身をその集団の典型的態度や行動様式に同調させようする習性があります、自身の帰属心(それによる高揚感)を満たそうとするのです。

その結果、自身の所属集団の望ましい性格が、他集団の性格より明瞭に区別できるようにますます極端になります。

――「我々の集団は他集団とは違う洗練された部分がある」と考えると高揚感・幸福感が得られるのです――これは後に、実験により他集団が存在しない場合でも同じように起こることが実証されました(MackieAndCooperの実験)。


実際には、上記3つの要因が複合的に関連しあい『集団成極化』が引き起こされるとされています。


これを見てみますと、自身の経験と照らし合わせて、思い当たるふしのある方もおられるのではないでしょうか。
特に【1】と【3】は、行為者の誘引(便益)が発動動機になっており、特に注意が必要です。


成極化の進む方向に行動を示すことで快感という便益が得られ、しかもそれを得るのに費用が必要ないとしたら、皆、率先して便益(快感)を得ようとするでしょう、最終的には麻薬中毒患者のようになる可能性もあります。


一般常識から明らかに乖離している攻撃的な主張、何かに酔ったような主張を繰り返している保守活動家の方をたまに見ますが・・・少し考えてしまいます。。


*        *        *


本来はここで『集団成極化』を防止する方法を書くべきところなのかもしれませんが、あまり話を複雑化させたくないという“思い”があります。
私がもっとも主張したいことは『相互確証幻想の防止』であり、その詳しい内容と対策はすでに記し終えています。


そもそも集団内で、はっきりとした明確な主張を行うことや、好ましい態度を示そうとすることは、必ずしも悪影響があるわけではありません。
これは、『集団成極化』――つまり、威勢がいい勇ましい“極端な”主張が問題であると言っているのです。


保守層の現状を見るかぎり『集団成極化』が起きている感じを受けますので、この概念を知り、メカニズムを念頭において発言・行動を起こすというのはマイナスにはならないでしょう(そうすることで集団成極化を緩和し保守を勝利に導けます)。
以下のようなことを、日頃から意識してみることをお勧めします。



(1):威勢のいい勇ましい主張をしている人を見たのであれば『他者優位性(他者に対して優位に立ちたい習性)』が現れているな――と考え、一歩引いて距離をる。


(2):たくさんの人や有名人、象徴的活動家、オピニオンリーダーが言っているからそうなのだろうな――という『自分を説得しようとしている感覚』を自覚できるように日頃から訓練しておく。


(3):「保守なら賛同するのは当然だ」「こう言うと格好いいな」「こう言うと感情を揺さぶられるな(ワクワクするな)」このような高揚感・幸福感にかられたら、一歩引いて冷静になってから、それが本当に論理的に正しいのかを考えてみる。



また、極端に
「威勢のいい勇ましい主張」
「思想的な酔ったような主張」
「魂を揺さ振られるような好戦的主張」
このような主張・行動を行っている方を見かけましたら『“集団成極化”という物の存在と、そのメカニズム』について、それとなく伝えるとよいでしょう。


「集団成極化という精神異常状態が存在し、それは保守(日本)を敗北させる」と・・・。


あくまで伝えるだけでいいでしょう、議論などを展開して話を複雑化させる必要はないでしょう。


さらに一歩進んで考えるならば、集団成極化を促進することができれば保守(日本)を敗北に導けるのですから、執拗にそのような発言・行為を行っている人がいるならば、その目的は何なのか?――ということも考えなければいけない時期に来ているのかもしれません・・。


この話、もう少し補足があります。
また明日お会いしましょう、そして明日が最終回です。
(ちょっと長くなりすぎましたね(^^;)

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posted by K_美樹 at 19:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 第三の敵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この数日、ランキングが大きく下がっているように思います。
これが管理人さんの主張、見解に保守派が抵抗した表れだとしたら、管理人さんの見解は正しいけれど、やはり多くの人にとって受け入れがたい主張なのだということになるのでしょうね。
ですが管理人さん、この連載は力作でした、静けさの中に断固とした意志を感じさせるものでした。

連載を終えたら少し休まれるとのことですが、是非そうしてください。
お体をいたわってください。
少し言うのが早くなってすみませんが、連載お疲れ様でした。
Posted by ランキングが・・・・ at 2014年03月08日 14:01
コメントありがとうございます m(_ _)m

かなり下がってますね、ランキング・・。
おそらく私の文章がつまらないでしょう(^^;
予想していたことではありますが。

こういう内容がうけないというのは、
感覚的にもわかります。。

実は、この件に関しても書きたい内容があったりします。
いずれ書きたいと思っていますが・・、
次から次へと終わらなくなってしまいますね(^^;
困ったものです。
Posted by 美樹 at 2014年03月08日 20:58
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