2014年03月03日

【保守活動講座6】相互確証幻想の問題点

昨日の続きになります、少し復習しておきます。
『相互確証幻想』は、


『異論への攻撃・制裁』
『情報のオミット・虚偽の盲信・自己正当化』
『優越意識・極度の楽観・無敵幻想』
『批判の自粛・表面上の支持拡大』
『大義の強調・倫理観の麻痺』
『敵に対する不正確な認識と見下すような思考』


を引き起こし、人間を精神異常状態に追い込みます。
その結果、『相互確証幻想』に取り憑かれた政策集団は、


「損益無視の馬鹿げた闘争行為」
「道義的優位を盲信する示威行動」
「非人道的な示威行動」
「道徳的反発を無視する示威行動」


などの行動を行うようになるという抗えない習性があります。
今後、保守勢力は、「国内の反日勢力(スパイ含む)」「国外の反日勢力(主に中韓)」とは別に『“相互確証幻想”と“それに取り憑かれた人々”』という第三の強大な敵と戦わなければなりません。


なぜこれが戦わなければならない強大な敵なのか・・・感覚的にもわかるかもしれませんが、もう少し踏み込んでかきますと、



@「社会変革運動の崩壊要因」

A「運動全体における利益と損失の逆転現象」

B「社会変革運動の長期的存続」



以上の3つに深く関与しているからです。
これらについてそれぞれに深い解説を加えることも可能ですが、文章量の問題から簡単に書くにとどめます(いずれ詳しい内容を書きます)。


まず「@:社会変革運動の崩壊要因」についてですが、社会運動学において社会運動解体の要因というのは、ある程度、公式化されているのです。
社会変革運動の崩壊は、「政府の規制」「共鳴者の離散」「反対者の抑圧」「運動体の内部対立」「担い手再生産の失敗」「メディアのフレームアップ」「ブームの終焉」などの変数により決定されますが、これらの要因に過激化・非倫理化が深く関与しています。
『相互確証幻想』は、過激化・非倫理化を促進します。


いずれ詳しい文章を書きたいと思いますが、過激化・非倫理化がすすんだ社会変革運動は崩壊・消滅します。
非倫理的な運動は支持拡大が起こらない、一般人は支持したくてもできない、当局は統制せざるをえない、というのは感覚的にもわかるのではないかと思います(関連記事を書きました)。


*        *        *


次に「A:運動全体における利益と損失の逆転現象」についてですが、社会変革運動というものは、大変な大事業であり、正直なところ成功するか失敗するかは分からないのです。
そこで重要な視点として、目標の達成よりも「その運動が何を残せるのか?」という考え方が重要になってきます。


仮に、“目標そのもの”の達成が失敗に終わったとしても、最終的に損失よりも利益が上であるならば、それは、少なくとも負けてはいない状態・・・場合によっては、まずまずの勝利と言ってもいいはずです。
次のチャンスを待てばよいのです、順々に階段を登っていけばいいわけです。


しかし、時として利益よりも損失の方が大きくなる場合があるのです。
もっとも一般的なものが『法規制の強化』です。


逆に運動が統制を強めるという結果をもたらす場合もある。

特に過激で非合法な戦術を運動組織がとった場合に、こうした統制の強化は生じやすい。

そして、その統制強化は単に過激な戦術をとる運動に適用されるだけではなく、穏健な戦術をとる運動にまで拡大して適用され、社会運動全体を停滞させる。(関西大学社会学部教授,片桐 新自)


前述の通り『相互確証幻想』は、過激化・非倫理化を促進します。
一度すすんだ法規制のラチェットは戻りません(参考)。
政治家は人気のある厳しい措置には喜んで票を入れますが、その逆に「犯罪に弱腰だ」と批判されるような自分にとって不利益な行動を行うことはありません。
行き着く先は社会変革運動の崩壊と運動全体の停滞です。


またネガティビティバイアス(悪い印象の方が強く永く残る)による偏見強化という問題もあります。
人間の脳はポジティブ感情とネガティブ感情を等価として認識していません。


たとえば、数多くの良い行いをし、多くの人を助けたであろう政治家であっても、一度だけ汚職をしただけで生涯において悪い政治家と認識されます。
100回正直な行いをした人が1回でも明らかに嘘をつくと、以後その人の正直さは疑われるものとなります(“正直な人”と再認知されるには、嘘1回に対し何回の正直な行いをしなければならないのでしょうか・・)。
人間の脳には、悪い印象の方が強く永く影響を及ぼすという習性があるのです(参考)。


過去にネガティブな行為を行った団体、宗派、企業に対し、どれほどの偏見がまとわりつくのかを考えてみればとわかると思われます。
これを、あとあと挽回するのは、かなり難しいのです・・・挽回は不可能であると言ってもいいほどです。
過去の歴史において、真に偏見を打ち破ったことなどあるのでしょうか。。


『最初は非道徳的でしたが、後で真面目になりました』
というようなことは通用しません。
こう考えてみますと「国民の目を覚ますために“一時的に”非倫理的な戦術を使うのはやむを得ない、あくまで“一時的な”戦略だ」という思考は最悪であるということになります。
そして、この思考は典型的な『相互確証幻想』の症状になります。


*        *        *


最後に「B:社会変革運動の長期的存続」ですが、現在、保守派が目指している社会変革運動は、明確なゴールが設定しにくい面があります。
いったい何をもって成功と言うのでしょうか?
まさか中国・韓国を物理的に消滅させるというわけにもいきません・・。
おそらく中国・韓国が地球上に存在するかぎり、摩擦は続くでしょう。
中国・韓国が地球上に存在するかぎり、スパイを送り込んでることになります。
この戦いは、10年、30年、あるいは永遠に続く可能性もあります。


その間、あらゆる情報工作が行われ保守勢力のみならず日本民族そのものを切り崩し疲弊させようと画策されるでしょう。
――『もう疲れた、いがみ合うことで何が生まれるというんだ!!』という正論が高まってきたら要注意です。博愛主義者の心をくすぐることで分断・疲弊させるというのは工作の常套手段です。――


保守勢力は長期的に戦える状態を作り出し、運動の担い手の再生産を行わなければなりません。
長期的に戦い続けられる体制を整えなければなりません。


そのための努力に対して、「非人道的な強制的手段」「道徳的反発の無視」「情報のオミット・無敵幻想」このようなものはマイナスにしか働きません。
前述しましたが、激化・非倫理化がすすんだ社会変革運動は消滅します。
また、この問題には前述したネガティビティバイアスによる偏見強化も関わってきます。
ネガティブな偏見が強化された集団・運動は長期的には衰退してしまいます。


運動の担い手の再生産ができなければ、行き着く先は敗北です。
社会運動体は企業のようなものであると言われています。
永続性のある優良企業を目指さなければなりません。


*        *        *


長々と書いてしまいましたが、これは普段から私がよく考えているもののうち、代表的なものを例示しただけで、実は、もっともっとあります。
インフルエンサー対策、内部エリート対策、自爆行為問題、メディア問題・・・etc(一度に書ける文章量には限界があります、いずれもっと詳しいものを書こうと思っています)。


ただ、以下のようなものが、あらゆる活動に対してプラスにはたらくことなどありえないということは感覚的にもわかっていただけると思います。


『異論への攻撃・制裁』
『情報のオミット・虚偽の盲信・自己正当化』
『優越意識・極度の楽観・無敵幻想』
『批判の自粛・表面上の支持拡大』
『大義の強調・倫理観の麻痺』
『敵に対する不正確な認識と見下すような思考』
「損益無視の馬鹿げた闘争行為」
「道義的優位を盲信する示威行動」
「非人道的な示威行動」
「道徳的反発を無視する示威行動」


『相互確証幻想』など無いほうがよいに決まっています。
明日以降、『相互確証幻想』と戦う方法について考察していきたいと思います。


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この後、【講座7】、【講座8】と「相互確証幻想と戦う方法」についての記事がつづくのですが、正直かなり長い話で、興味が無い方には苦痛と思われますので、とりあえず一通り通読したいという方は【講座9】へ進むことをおすすめいたします。






posted by K_美樹 at 20:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 第三の敵 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
怖くて読めない、読んでも頭に入らない。てことは、受け入れ難い真実なんだろうな…
Posted by どうしましょう… at 2014年04月14日 15:33
コメントありがとうございます m(_ _)m

読んでいただけた十分です、満足です・・。
いろいろと上手くいかないこともありますが
頑張っていきましょう・・。

ご意見ありがとうございました。。
Posted by 美樹 at 2014年04月14日 20:19
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