『相互確証幻想』は、社会変革運動を行う運動体に対して、大きな問題を引き起こすとされています。
なぜこれが保守運動体にとって危険なのでしょうか?
これに取り憑かれると「精神に異常をきたすために問題がある」・・・わけではないのです(それも問題ですが)。
社会学者A.Oberschall(ノースカロライナ大学教授)博士は「社会的紛争の理論」という論文の中で、『相互確証幻想(グループシンク)』が示威行動、抗議集会、行進などに、どのような影響をもたらすか述べています。
引用してみましょう。
(以下でA.Oberschall博士の言う紛争には「示威行動・抗議集会・行進」という意味があります)
コーザー(ニューヨーク州立大学教授Lewis Coserのこと)の命題から引き出される一つの重要な帰結が、ジャニス(社会心理学者,カリフォルニア大学名誉教授)のグループシンクについての最近の著作のなかで述べられている。 それは集団内の付和雷同傾向に言及して、その傾向が精神の効力、事実の検証、道徳的判断力を低下させると指摘している。 ジャニスの発想は次のような命題によって要約することができる。 「政策を形成する集団のメンバーの間で、親密度や団体精神が高まるほど独立の批判精神がグループシンクにとって変わられる危険が大きくなり、その結果、外集団に対して非合理的で非人道的な行為をとりやすくなる」 またグループシンクは、過度の楽観主義と、警戒心の欠如、そして他集団の不道徳を誇張して一般化する傾向を助長する。 もし紛争が凝集性と付和雷同傾向を生み、紛争集団の指導者間にグループシンクを帰結させるのならば、リーダーシップは紛争の継続コストを最小評価し、成功の可能性を過大評価することになるだろう(過度の楽観主義と無謀)。 その上リーダーシップは強制的な手段に訴えやすくなるだろう(自集団の道義的優位の盲信、外集団への非人道的な行為、その行為が及ぼす道徳的影響の無視)。 |
A.Oberschall博士は、示威行動・抗議集会・行進と『相互確証幻想(グループシンク)』がかかわると、政策集団は、
「過度の楽観主義による無謀な闘争行為」
行うようになり、その上、
「自分たちの主張の道義的優位の盲信する強制的手段」
「外集団(反対する集団)への非人道的な強制的手段」
「非人道的な強制的手段が及ぼす道徳的反発の無視」
などが発生しやすくなると述べています。
前回の復習になりますが、『相互確証幻想』の特徴は、以下のようなものでした。
『異論への攻撃・制裁』
『情報のオミット・虚偽の盲信・自己正当化』
『優越意識・極度の楽観・無敵幻想』
『批判の自粛・表面上の支持拡大』
『大義の強調・倫理観の麻痺』
『敵に対する不正確な認識と見下すような思考』
ぶっちゃけてしまいますとLewisCoserの命題やらIrvingJanisの命題などというものを、わざわざ持ち出してこなくても上記のような異常精神状態に陥った人々が、下記のような
「過度の楽観による馬鹿げた闘争行為」
「道義的優位を盲信する強制的手段」
「非人道的な強制的手段」
「道徳的反発を無視する強制的手段」
といった行為を行うようになるというのは感覚的にもわかるのではないかと思います。
そしてこれは、意識しなければ避けることができない人間の習性なのです。
さらに、これは意識していたとしても、錯覚と自己欺瞞により、あらゆる論法・手段をもちいて実行に移そうと画策されます。
『相互確証幻想』は社会変革運動を「妄信的な馬鹿げた闘争行為」に変えようとするのです。
明日以降、この事実について、もう少し突っ込んだ内容を書こうと思います。
もしよろしければ・・―→
今後の連載に期待しております。
いつもコメントありがとうございます(^^)
>「では、どうすれば回避できるのか」
>を論じたものは無かったように思います。
その件についても触れます。
触れますが・・・そこまで大した内容ではないですので
がっかりさせてしまうかもしれません(^^;
あまり期待しないで温かく見守ってくださいませ m(_ _)m